ブラックロック・インベストメント・インスティテュートは、企業レベルのAI設備投資(AIキャペックス)が、いまや市場全体のマクロ環境を左右していると投資家に警告した。アセットマネージャーである同社は、2026年を見据えた最初のテーマ「ミクロがマクロになる」は、この構造転換を的確に捉えていると述べた。
ジャン・ボワヴァン氏とウェイ・リー氏によるストラテジストの見解は、ビッグテック各社の2024年の設備投資総額が約7250億ドルに達する見通しの中で発表された。この数字は、2024年第1四半期決算発表前の推計値から約10%増加している。この水準のキャペックスは、従来のマクロ要因に匹敵する規模。
「ミクロがマクロ」の主張は、少数企業によるキャペックスが経済成長や企業収益、利回りを左右することを指摘する。この投資は、いまや中央銀行の政策と並ぶ市場の主要要因である。
ブラックロックはAIインフラ投資が今後10年で5兆ドルから8兆ドル規模に達すると試算する。「マグニフィセント・セブン」は直近で四半期利益成長率57%前後を記録。AIが米国株式市場の上昇を主導している状況。
同社は、AIこそ150年ぶりに米国の成長率を2%超に押し上げ得る初のイノベーションとなる可能性があると分析。ただし、その結末は依然として不透明との認識も示す。
粘着的な物価上昇圧力は、ホルムズ海峡封鎖による新たなエネルギーリスクが加わる以前から高まっていた。ブラックロックは、欧州で今後約3回の追加利上げが市場に織り込まれ、米国は現状維持とみる。
同社は引き続き米国株と新興国株をオーバーウェイトに推奨。ただし、長期米国債が以前ほどポートフォリオの安定役にならない点を指摘。高止まりする利回りと粘着インフレが今後も続く場合、バリュエーションへの下押し圧力が強まる可能性を警戒する。
暗号資産市場にも同様の要因が働いている。ビットコイン(BTC)は約8万646ドルで推移し、2025年10月の過去最高値12万6,080ドルから約36%下落。イーサリアム(ETH)は2,260ドル付近で、2025年8月のピークを50%以上下回る。
かつてリスク資産に流れていた資本は、現在AIキャペックスやエネルギー安全保障へと向かい、資金調達競争が激化。ブラックロックは、現在の本格的な分散投資には従来の複数アセット分散ではなく、プライベート市場やヘッジファンドの活用が不可欠であると主張している。
レバレッジの上昇、従来型ヘッジの弱体化、少数の巨大な要因による全体支配が進む中、パッシブ投資は厳しい時代に向かう。AIキャペックスが成長プレミアムを維持するのか、他の資産を圧迫し始めるのかが核心となる。この答えが、2026年後半のリスク市場のトーンを決定づける。


