ビットコイン(BTC)はビットコイン・レインボーチャートの最下限バンドを下回った。このゾーンは、元のモデルで率直に「ビットコインは終わった」と記されている。現在、同資産はおよそ6万2500ドルで推移しており、昨年10月の過去最高値のおよそ半値。
統計学者ジョージ・ボックス氏は「すべてのモデルは間違っているが、中には役立つものもある」と述べた。ストック・トゥ・フロー(在庫対供給量)モデルはすでに「役立つ」段階から「破綻」へと移行した。レインボーチャートも同じ道をたどる可能性がある。
レインボーチャートはビットコイン価格を対数回帰バンドでプロットする。各色のバンドはセンチメントのゾーンを示す。上部の赤色は熱狂を、下部は深い割安圏を示している。
元のバージョンは10バンドで構成されている。最下部の紫色ストリップには「ビットコインは終わった」との厳しいレッテルが付いている。このゾーンへの突入は常に極端な悲観を意味した。
レディットのユーザーが2014年に初めてこのチャートを描いた。その後、ビットコイントークの投稿者が対数回帰と組み合わせ、現在のバンドの形が生まれた。
ビットコインの歴史の大半で、この指標は機能した。上昇局面では暖色系の赤バンド、下落局面では寒色系の青や紫ゾーンで反転した。
コイングラスの最新版ではバンドが9つに簡素化された。紫色の最下部は削除され、「ファイアセール!(投げ売り)」が最下限になった。バンドモデルの仕組みは関連記事で詳述している。
現在、ビットコインはその最下限すら下回る。リアルタイム市場価格はおよそ6万2500ドルで、「ファイアセール!」バンドも通過し、モデルが定義するレンジを外れている。
過去にこの現象が起きたのは、2022年のベアマーケット最安値付近で一度だけ。ある見方では、今回の下抜けは希少な深い割安の買い場ということになる。
モデルの有効性が前提なら、現在は割安圏といえる。一方でストック・トゥ・フローの経緯は、その前提がリスクを孕むことを示唆する。
匿名アナリストのプランB氏は2019年にストック・トゥ・フローモデルを提唱した。モデルはビットコインの供給減少(半減期ごとの発行量減)と価格を関連付けた。
数年間は説得力があった。2013年、2017年、2021年の価格はモデルライン付近で推移し、一定の信頼を集めた。
その後、破綻した。2024年の半減期以降、モデルはおよそ50万ドルを要求した。だがビットコインは2025年10月に約12万6000ドルでピークを付け、目標値からおよそ75%下回った。
プランB氏はさらに強い予測を続け、2028年の半減期までにビットコインが500万ドル近くに達しうるとの見方を示している。しかし現状の価格では説得が難しい。
批判者らは根本的な欠陥を指摘する。このモデルは供給しか考慮せず、価格を動かす真の要因である需要を無視している。
ストック・トゥ・フロー乖離チャートは、価格をモデル値で割った比率を示す。長年、この比率は1(モデル値)へと回帰していたが、いまやゼロに向かって失速している。
ゼロに近付く比率は、誤差がもはや自己修正しないことを示す。モデルの予測値と現実がサイクルごとに乖離し続けている。
ジョージ・ボックス氏はこの帰結を予見していた。モデルは過去を正確に説明できても、未来を予測できるとは限らない。ストック・トゥ・フローは「誤り」の領域に移行した。
レインボーチャートにも同様の兆候が現れている。弱点は最下限だけでなく、上限側にも見られる。2013年、2017年、2021年サイクルのピークは上部の赤色「売り」バンドに達していた。
しかし今サイクルの最高値は、緑色の「買い増し」ゾーン止まりで、過去より大きく下回る水準だった。
つまり価格は上方バンドを下回り続け、いまや下方バンドをも突き抜けている。かつてビットコイン相場を包含していたバンド構造は、現在は上下いずれにも効かなくなっている。
両モデルとも、絶え間ない指数関数的成長を前提としている。しかしビットコインは現在、時価総額1兆2500億ドル規模の資産となり、規模が大きくなるほど成長率は時間とともに鈍化する。
この成長曲線の成熟こそが、従来の指数関数モデルでは捉えきれない部分である。同チャートは、今後も初期と同様の成長が続くことを前提としているが、その保証はない。
この変化には分析担当者の間で呼称がある。現在、多くのアナリストは「べき乗則」モデルを支持し、ビットコインが上昇を続けつつも徐々に成長ペースが鈍化するとみる。真の回復があれば、価格はバンド内に戻り、市場の疑念が和らぐ。一方で長期的にバンドを下回る場合、モデルの限界が現実のものとなる可能性がある。
本稿執筆時点で約6万2500ドルで推移し、1日で約3%下落、過去最高値からは5割安となっているが、ビットコイン自体が「終わった」わけではない。むしろ、そのバンドに名前を付けたモデルの方が終焉を迎える可能性がある。
レインボーチャートがストック・トゥ・フローと同様に役目を終えるのか、それとも長期的な価格予測が今後も通用するのか――次のサイクルがその答えを示す。
