デル株が過去最高値の317.05ドルで取引。トランプ米大統領の5月8日の支持表明と2027年度第1四半期決算の好結果による138%上昇。
ただし、チャートやオプション市場の内部シグナルは、次の上昇局面の前に一時的な調整が必要とのサインを示している。
デル・テクノロジーズ(NYSE: DELL)は2027年度第1四半期の売上高を438億ドルと発表。市場のコンセンサスである348億1000万ドルを大きく上回った。調整後1株当たり利益(EPS)は4.86ドルとなり、予想の2.88ドルを大きく上回った。EPSは企業利益を発行済み株式数で割った指標である。前年同期比で214%増となった。
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AIサーバー部門が業績を牽引。AI最適化サーバーの売上高は161億ドルとなり、前年同期比757%増。今四半期のAI関連受注額は244億ドルに達した。
経営陣は2027年度通期のAIサーバー売上予想を500億ドルから600億ドルに引き上げた。通期売上高ガイダンスは1650億から1690億ドルとなり、市場予想の1439億ドルを大きく上回る水準。
これほどの大幅な好決算が、オプション取引やチャート上で機関投資家のフローに焦点が移った理由を説明する。通常、これほど大きなポジティブサプライズは、短期的な株価の過熱状態を生み、後のシグナルもそれを裏付ける形となった。
今回の決算好調は、社外で始まったストーリーの第3幕である。2026年5月8日、トランプ米大統領が公の場で「デルを買うべきだ」と投資家に呼びかけた。この発言があった時点で、デル株は年初来安値を離れ上昇基調にあった。
その3週間足らず後の5月27日、デルは米国防総省から97億ドル規模の契約を獲得。政治的な勢いに根拠となる材料が加わる結果となった。
木曜日時点でデル株は、3月初旬の安値から138%上昇を記録。きれいな強気材料の連鎖である。ただし、同じチャート上に現れた市場内部のシグナルは、やや先行し過ぎている可能性を示唆している。
デルの株価チャートは高値更新局面でも内部の弱含みを示し始めた。Chaikin Money Flow(CMF)は価格と出来高から機関投資家資金の流入出を測定する指標である。
CMFは5月上旬に0.40でピークを付け、その後0.24まで低下。価格が上昇を続けているにもかかわらず、指標上でダブルトップ構造を形成した。
CMFは依然としてプラス圏だが、4月中旬から続く上昇トレンドラインのテスト局面にある。このラインを割り込むと、機関投資家の資金流出を裏付けることになる。
出来高も同様の傾向だ。5月28日の決算発表時には2661万株の取引を記録したが、全体の出来高推移は3月初旬の急騰局面に比べ減少傾向にある。
価格上昇が出来高減少とともに起きる場合、短期的な調整が近いことが多い。木曜日の終値では十字線(ドージ)が出現し、このサインを裏付けた。ドージは買い手と売り手の力が拮抗し、力強い動きの後の迷いを示す。
チャートが迷いのサインを見せる中、機関投資家のフローが減るなら、オプション市場の動向が次の確認ポイントとなる。
オプション市場は第1四半期決算発表前後で顕著に変化した。プット・コール出来高比率は、1日のプット取引とコール取引の量を比較する指標。比率が1未満の場合はコールの方が多く取引されており、一般に上昇傾向と解釈される。
5月20日時点で、デルのプット・コール出来高比率は0.34と非常に強気な数値となった。一方で、この日の未決済建玉比率は1.28だった。未決済建玉は全体のオープン契約数を示しており、1.28という数値は既存プットの方が既存コールを上回っていることを意味する。
5月28日、決算発表当日には出来高比率が0.80まで上昇した。未決済建玉比率も1.29にわずかに上昇。この8日間で出来高比率は2倍以上に拡大し、株価が上昇する中での動きとなった。
好調な決算発表日にプット買いが大幅に増える現象は、方向性を狙った弱気取引ではなくヘッジとして行われる場合が多い。大口保有者が株式エクスポージャーを維持しつつプロテクションを購入している。こうしたシグナルは、CMFや出来高動向とも一致する。
決算発表後、ウォール街のアナリストも評価を発表。みずほ証券は目標株価を引き上げつつ、BUY(買い)を継続。トゥルイスト・ファイナンシャルはHOLD(中立)評価を維持した。
強気なニュースフロー、弱含む機関投資家の資金流出、そして上昇するプットヘッジの動きが同時進行している。今後は株価チャートが最終的な判断材料となる。
決算発表後の現状では、デル株には明確なチャート上の道筋が示された。現在の株価は317ドルで、前日には一時326ドル超まで上昇し終値も高値引けとなった。326ドルのレジスタンス水準は直近のスイングによるテクニカル水準と一致し、現在のパターンの有効性を裏付ける。
直近スイングの0.618フィボナッチ水準は305ドルに位置しており、ここが重要なサポート水準。仮に調整が深まる場合には、下値支持帯として290ドルが次のサポートとなる。調整があれば、デル株価は下降チャネル入りとなり、強気のフラッグ・アンド・ポール型パターンを示す。この“ポール”は3月初旬から138%の上昇を示している。
305ドルからさらに275ドル(0.382フィボナッチ)まで下落しても、強気フラッグパターンは維持される。このパターンは256ドルを下回ると弱まり、227ドルを終値で割り込むとパターン自体が無効となる。
一方、305ドルまたは290ドルで切り返せば続伸が視野に入る。パターン上の上昇目標は431ドルで、1.618フィボナッチ拡張に該当。この水準はみずほ証券が5月28日に350ドルから引き上げた435ドルの新目標株価に近い。
今後の動向は、305ドルのサポートを買い手がしっかり守れるかにかかっている。305ドルで反発すれば431ドルへの上昇シナリオ、反発できなければ275ドルや256ドルへの調整が本格化する。
