Bankless共同創業者デイビッド・ホフマン氏がイーサリアム(ETH)を売却した。「ETHはマネー」という仮説が完全に織り込まれたと主張。同氏の判断はオンチェーンデータや日足チャートにもすでに反映されている。
イーサの価格はおよそ1975ドルで推移し、きょう2.4%下落、過去1カ月で約14%下落した。アクティブアドレスは減少傾向にあり、取引所残高は再び増加。いずれもホフマン氏が退任時の声明で指摘した減退傾向と一致する。
ホフマン氏は「ETHはマネー」という仮説を難しい挑戦だったと表現。イーサリアムの全レイヤーが競合を上回る必要があるとし、その条件が満たされなかったと述べた。
Bankless共同創業者の同氏は、イーサリアムネットワーク自体には強気姿勢を崩していない。しかし、ETHという資産に対し構造的な格上げは今後見込めないと指摘した。プロトコルは価値をL2やアプリに還元し、自らは吸収しない設計という認識。
今回の売却は暗号資産業界で大きな注目を集めた。ホフマン氏は過去5年間、イーサリアムの最も積極的な支持者の一人だった。市場の反応は真っ二つに分かれた。既に仮説は一巡したとするトレーダーもいれば、今もWeb3への割安な賭けと見る投資家も残る。
Santimentのデータによると、イーサリアムのデイリーアクティブアドレス数は2月初旬以降、低下傾向。1月には150万を超えていたが、現在はおよそ54万4000まで落ち込んでいる。
この減退は12月初旬の3400ドル超から本日の2000ドル割れまでの広範な下落と連動。ホフマン氏はL1資産の価格は最終的に手数料収入で決まると指摘。手数料はベースレイヤーで継続的な取引があるときだけ発生する。
ホフマン氏は退任声明で、2024年のSolanaや2026年のNEARの格上げに言及。両者はL1トークンの強さと手数料市場シェアの相関性を示した。イーサリアムは2024年と2025年でシェアを失ったと分析。
また、BNBやTRXも言及。いずれも収益上位チェーンであり、そのチャートはETHが2022年以降たどると予想した動きと一致したという。結論は、技術力ではなく手数料収益の優位が価格上限を規定する点にある。
このトレンドが反転すればシグナルは弱まる。アドレス数は30日移動平均で100万を超える必要あり。それまではオンチェーンの状況がホフマン氏の弱気な見解を裏付ける。
需要が減退し、アクティビティはL2へ移行中。L2はイーサリアム基盤にほとんど還元しない。
2つ目のオンチェーンシグナルはより目を引く。ETHの取引所供給量は1月下旬に約850万から約700万まで急減少。4月までその水準を維持し、静かな蓄積局面の様相だった。
しかし、5月にはトレンドが反転。取引所供給量は750万まで再増加し、その水準で推移。コインが取引所に戻る動きは、保有者が売却準備を進めているシグナル。
絶対的な規模は小さいが、方向的には重要な変化。日足チャートで2140ドルを下抜けたタイミングと重なっている。また、アクティブアドレスの再下落とも連動する。
ホフマン氏は、ETHの強気なオンチェーン局面もいずれ減退すると指摘。イーサリアムは「奪うのではなく与える」ネットワーク構造と分析。5月の取引所供給反転もこの見方と合致する。
下落局面で蓄積した保有者は、現状の弱含みに対し売りを進め始めた。構造的な格上げは期待していない。
この振る舞いはホフマン氏が言及したステーブルコインの論点とも一致。イーサリアムは現在、ステーブルコインで1630億ドルを決済。2020年の30億ドルから急拡大した。このユーティリティはETH以上にドルに寄与している。保有者も同じ認識を持っているようだ。
取引所への純流入は数週間先の価格下落につながりやすい。5月の傾向が6月も続けば、日足が崩れるよりも前に新たな売り圧力が強まる可能性。第1四半期の蓄積局面の説得力は薄れた。
日足チャートでは4月下旬から下降並行チャネル内でもみ合い。価格は5月初旬に2382ドルの0.382フィボナッチで反落。その後、5月中旬に2140ドルの0.236水準を割り込んだ。
ETHは現在1978ドルで推移し、チャネル下限帯へじりじりと接近。下値支持帯は1920ドル付近。この水準を明確に割り込めば、1750ドル(直近の安値・0フィボナッチ)まで下落余地が広がる。
取引量は2月初旬から減少傾向。買い手も売り手も確信が希薄。14日間RSIは30近辺で推移し、売られ過ぎ領域に入りつつある。
これまでの傾向を見ると、ETHのRSIが30を下回ると急速な逆方向への反発が発生することが多い。ただし、これらの反発は往々にして一時的であり、広範なトレンドが再開する前にリセットされる。そのため、トレーダーは1,920ドル台にヒゲをつけてから日足で反転するローソク足に注目したい。
上昇転換を示すシナリオは、ETHが2,140ドルを日足終値で上抜けた場合である。この動きは0.236フィボナッチ水準を回復し、2,382ドルまで上昇余地が開ける。それまでは、あらゆる反発が下降チャネル内で消化される形となっている。
1,920ドルから出来高を伴って反発すれば、強気派に時間的余裕が生まれる。一方、終値がこの水準を下回れば、ホフマン氏が示した構造的な見立てが裏付けられることになる。その場合、1,750ドルが視野に入る。
1,750ドルの再試は、2026年のETH最低値を示すことになり、現物保有者がここ数カ月に積み上げてきた努力が無に帰すことになる。強気派はこのシナリオを避けるためにも、1,920ドル台を明確に維持する必要がある。
現状では、チャネル、オンチェーンの動向、ホフマン氏の仮説が整合的な弱気シグナルを形成している。どれか1つのシグナルで決定的というわけではないが、3つが同時に1つのトレードを後押ししている。いまここでETHを買うのは、その3つすべてが同時に反転することに賭けるという意味合いになる。
2,140ドル回復水準を注視することが、今後の主導権が強気派・弱気派のいずれかにあるかを見極める最も確かな方法となる。この水準が日足終値で明確に示現するまでは、証明責任は強気派側に残り続ける。これはホフマン氏の「なぜ私はETHを売ったのか」というノートが示唆していた状況である。


